忍者ブログ
矯正歯科とは歯並びをきれいにする歯科治療(歯列矯正)です.一般的な歯科や審美歯科では歯を削って歯並びをきれいにしますが,矯正歯科では歯を削らすに移動する事で歯並びをきれいにします.そのため,普通の歯科とは治療のシステムが異なり,患者さんには様々な疑問が湧いてきます.そこで私たち矯正歯科専門医が患者さんからよくいただく質問を定期的に掲載していきます.
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6]  [7]  [8
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

質問


昨日、中に入ってしまった一本の前の歯を元に戻すために前歯6本に矯正器具をつけて矯正を始めましたが,あまりにも不安なことが多いので、アドバイスお願いします。

1)矯正器具をつけるときに、つける歯の表面を削られたのですが、これが
ものすごく削られたみたいで、つるつるしてるはずの歯がざらざらしています。
普通このように、ざらざらになるまで削るものなんでしょうか?

2)あと装置をつけたあと、つけるための接着剤をがりがりとっていたんですが、
これがものすごい力で、歯が折れるんじゃないかと思ったほど力いっぱいやられて、しかも2箇所あきらかに間違いで(強く削り過ぎで)部分的にけずられへこんでしまいました。

矯正をつけるからはずすまで、一切先生はやらずに歯科衛生士の女性の方がやっていて、先生は確認だけでした。
矯正専門のところなのに、これは普通なのでしょうか?

3)あと、そのあきらかに削り過ぎで部分的に削られている歯に、帰って見てみたら黒い線が入っています。
歯の上から矯正器具に向かって(器具の下にもついているのかもしれませんが)
これは、なんでしょう?歯磨きしてもとれません。
もしかして、本当に力いっぱいがりがり押していたので、そのときに
ひびが入ったのではと、とても不安です。

歯にひびが入った場合、黒い線がはいりますか??
もう不安でしかたありません。アドバイスお願いします。


回答


 はじめまして。まず、ここに書かれている疑問や心配は、本当は今質問者さんが掛かられている先生に直接尋ねるべき内容ですが、それにしても質問者さんは少し心配性が過ぎるかもしれません。
1)ざらざらになるまで削るものか?
 これは、ブラケットという矯正装置を歯に接着させるために歯の表面を酸処理(脱灰)したもので、削るという表現は適切ではなく、あえていえば「サッと溶かした」というのが当てはまるかもしれません。表面の滑らかさが失われるのは、酸性度の高い食物を口に入れたときと同じで、歯そのものが欠損する(削れて溝ができる)こととは違います。数日もすれば元のようにスベスベの表面が戻るので心配はありません。
2)(強く削り過ぎで)部分的にけずられへこんでしまいました。
 接着剤は、装置(ブラケット)が矯正力で剥がれたりしないようにそれなりの強度を持っていますので、はみ出した接着剤を取り除くにもある程度力を入れなければなりませんが、通常、歯の表面(エナメル質)はその程度の力や器具で簡単に削り取られるほど柔(やわ)ではありません。それでも明らかに欠損(凹み)が出たとしたら、それは早い内に先生に告げて説明を受けてください。
 これら一連の作業を歯科衛生士が行うことは問題なく、またそれが衛生士の仕事でもあるのですが、ただ一点、ブラケット(矯正装置)を歯科衛生士が接着することには反対です。法律的には問題ないとしても、ブラケットの位置や角度は矯正治療上極めて重要な意味を持つからですが、そこを衛生士任せにするその先生の診療姿勢には疑問を持ちます。
 治療の流れの中で、診断等のヘッドワークは当然として矯正医が絶対的に為すべき作業は、ブラケットの装着(接着)とワイヤベンディング(矯正線の屈曲)だと考えています。その間のワイヤの取り外しや装着、刷掃(歯磨き)指導や種々の説明あるいは写真などの資料取りは、歯科衛生士などに任せても許される領域だと思います。
3)歯にひびが入った場合、黒い線がはいりますか。
 2)でも書いたように、歯はそう簡単に削れたりヒビが入ったりするものではありません。恐らくその黒い線は、はみ出した接着剤がまだ少し残っていて、その接着剤に削り取ろうとした金属の器具の跡が付いたものと推測されます。そうだとすれば黒い線は歯磨きでは容易には落ちませんが、別段害になるわけでもありません。接着剤が取れれば黒い線もなくなります。そのように考えると、ブラケット周囲の凸凹は歯が削られたのではなく、削り残された接着剤ではないでしょうか。

 はじめに書いたように、質問者さんの疑問や心配は先生に伝えれば直ぐ解決しそうなことですので、ためらわずに積極的に先生に尋ねてください。また、今後もすべての作業を歯科衛生士に任せ、それが質問者さんには極めて不快であれば、その旨をハッキリ先生に伝えなければいけません。疑問や心配を溜めると、それが不満になり不信になり終にはトラブルになります。
 もし疑問や心配に誠意をもって応えてくれない先生だとしたら、それは質問者さんの矯正医の選択のミスであり、諦めるか転院するしかありません。


矯正歯科
PR
質問


はじめまして。小学5年生の娘のことで相談させていただきます。
娘は、叢生と上顎前突の為、乳歯と永久歯の生え変わり時期より歯列拡大からヘッドギアを使っての治療をし(1期治療)、現在は、ブラケットをつけての治療で半年が過ぎたところです。
担当医からは、1期治療が終わった時点で抜歯(小臼歯上下4本)、非抜歯のボーダーラインなのでどちらかの選択をといわれました。
(説明では、抜歯の場合は理想的な口元できれいに仕上がるが非抜歯では歯を並べるだけということでした。)
こちらの希望としては、抜歯した口元の方がいいとは思いましたが悩んだ末、その時点で抜歯する勇気もなく、そのまま装置をつけての治療となり現在に至っています。
今の時点で娘の歯はきれいに並んできていますが、いくつか気になるところがあります。それは、
1.装置のせいもあるとは思いますが少し口がとじにくいこと
2..笑った時に歯茎と歯全体が見えること(歯がとても大きい)。
3.上下の歯の前後間が広いように思う
4.多少口元の突出感がある
(これらは、客観的に見ると大したことはないかもしれませんが)
このまま非抜歯でいくと装置をつけておく期間はあと半年ほどと聞いていますが
今後の治療で少しは変化があるのでしょうか? (担当医に聞くべきなのですが)
それとも成長とともに多少は軽減されるものなのでしょうか?
また、もし抜歯するとなると、移動量が大きくなる分痛みもかなりあるのでしょうか?
今まではほとんど痛みがなかったのでやっぱりこのままの方が・・などと悩んでおります。
お忙しいとは思いますがアドバイスをいただければと思います。


回答


はじめまして。以下、かなりの長文ですが我慢して下さい。
 まず、私は頑迷な抜歯論者でもなければ、頑固な非抜歯論者でもありません。本来、矯正治療上の抜歯は治療目標ではなく、目標を達成させるための一手段であって、抜歯非抜歯はより良質な治療結果を得るために、抜歯が必要か不必要かの観点で判断されるべきだと考えるものです。
 矯正治療に関するご質問のうち最も多いのがこの抜歯についての問題ですが、質問者さんのご質問に回答する前に、少し長くなりますがこれまでお答えしてきた回答の中から、一般論をまとめて記載させていただきます。

 歯科矯正治療の先進国であるアメリカでは、抜歯・非抜歯の問題について20世紀初頭、つまり今から100年も前から論争が行われており、基本は抜歯論なのですが、忘れたころに非抜歯論が持ち上がっては消え、消えては持ち上がる歴史を繰り返しています。
 抜歯をできるだけ避けたいと考えるのは患者さんも矯正医も同じですが、日本人の不正咬合においては、非抜歯で治療できるケ−スはかなり限られているのが現実です。最新出版された矯正専門書にある大学病院矯正科や矯正歯科専門医院の報告では、大体どこも70%前後が抜歯ケ−スだったと記されています。
 矯正治療において抜歯が必要な理由は、歯の大きさとそれを収容する顎の大きさとの不調和(ディスクレパンシ−)を解消するためで、簡単にいえば、歯が大き過ぎるとか、顎が小さ過ぎるために歯ならびが不規則になったり、あるいは口元が突出した状態を解消するためです。また、抜歯による空隙は治療後に閉じてしまうものですから、いわゆる<抜歯イコール入れ歯>の抜歯とは意味が異なります。矯正治療によって歯の総数は減りますが、それによってより好ましい咬み合わせや顔貌を得るわけですから“足りなくなる”と考えることはありません。
 歯の大きさは前歯が大きければ奥歯も、 上の歯が大きければ下の歯も大きくなりますので、 理屈からいえば、 1本1本の歯を小さくするとか、 顎を広げて大きくするということが考えられますが“現実的にはできないことあるいは限界があること”ですので、<歯の数を減らして(抜歯)、 顎の大きさに合った歯の数にする>方法がとられます。
 通常、抜歯が4本なのは、歯の数は左右対称、上下同数ですので上下左右から1本づつ抜歯するのが原則で、むしろ変則的な抜歯は最終的な咬み合わせをおかしくする原因になります。
 患者さんの“抜かないことはいいことだ”という、信仰に近いような考えを説得するのはどの矯正医も苦労するところですが、誰でも「歯を抜いて治しますか、抜かない(非抜歯)で治しますか」と尋ねられれば、「抜かないで治して」と言うのが人情です。しかし、抜歯か非抜歯かは、矯正治療方針を決定するうえで極めて重要な要素であり、その決定権は本来術者である矯正医が持つもので、患者側に委ねるべきものではありません。真に抜歯すべきケ−スであれば、患者が非抜歯を希望しても、非抜歯なら手掛けないのが矯正医としての責任ある態度だと思います。

 顔貌(口元)の審美性については、欧米人(コーカソイド)の鼻は高くオトガイ(顎の先)は突き出ていますから、矯正治療によって口元を引っ込めなければいけないケースは少なく、非抜歯で口元が少し出ても顔貌にあまり影響はありません。問題は、日本人(モンゴロイド)の頭蓋顔面の骨格や歯の大きさ形態が、欧米人のそれとまったく異なるにもかかわらず、欧米人の治療基準をそのまま当てはめて治療しようとすることです。
 多分、患者さんが考えるのとは逆に、矯正治療は抜歯して治す方が一般に易しいのです。もともと非抜歯ケースを非抜歯で治すのは一番簡単ですが、抜歯ケースを非抜歯で治そうとすると難しくなります。それは、非抜歯では抜歯によるスペースがない分、歯の移動範囲や量が制限されるからです。
 矯正治療の仕上がりとは何をもって良しとし、何をもってうまくいかなかったとするのか。E-ラインは、esthetic line(審美ライン)とよばれる審美性をみるための一つの基準線ですが、これは機能を評価するラインではありません。E-ラインの基点となる鼻を、形成外科的に高くしたりオトガイ(下顎の尖端)を豊かにすれば、必然的に口唇はE-ラインの内側に入ってきますが、それだけでは真に美しい側貌は得られません。
 軟組織(唇や頬など口腔周囲の筋肉)の機能的な意味を含めた美とは、口唇を閉じた状態での横顔において、鼻の下から唇さらにオトガイにかけてのラインに無理(緊張)がなく、下部組織である骨の状態を再現していることです。
 これは、矯正医が必ず撮るレントゲン(頭部X線規格写真:セファログラム、通称セファロ)でより良く見ることができます。出っ歯の人が口唇を閉じようとすると、多くは前歯が邪魔をしますので、意識的に口唇を引っ張らなくては口を結ぶことができません。この時に軟組織が歪み、ことに下唇からオトガイにかけてのS字状のラインが崩れ、オトガイ(顎の尖端)が不明瞭なノッペリした側貌になります。
 また、極端な前歯突出の場合は、意識しないと口唇を閉じるのが難しく、閉じるとオトガイ筋が緊張して顎の先に“ウメボシ”と称される特有のシワを作ります。この軟組織の状態は、審美的にはもちろん機能的にも好ましいものではありません。
 矯正治療後は、口唇を閉じた時とリラックスしている時の軟組織(唇や頬など口腔周囲の筋肉)の形態がほとんど変わらないことが、軟組織上から見た一つの治療目標であり、仕上がりの善し悪しを見る(まだ他にもありますが)大きな要点です。つまり、硬組織(歯や顎)が奇麗になり、歯が引っ込みキチンと咬むことは矯正治療としては当たり前のことで、さらに、軟組織をできるかぎり調和のとれた状態に治めることが、よりステージの高い矯正治療だといえます。

 引用は以上ですが、現在、教授が日本矯正歯科学会長をされている新潟大学歯学部・矯正学教室のHPは色々ためになることが分かりやすく掲載されています。
http://www.dent.niigata-u.ac.jp/ortho/hp/ortho.hpinfo.html
そこから「矯正歯科治療QandA]や[どうしてきれいな歯並びになるの?][CAPIS]の項目をお嬢様に照らし合わせてご参照ください。抜歯のこともよく分かるはずです。

 <今後の治療で少しは変化があるか> <成長とともに多少は軽減されるか?>
 列挙された ? ? ? ? の四項目については、残念ながらほとんど期待できないといわざるを得ません。(非難ではなく)お嬢様の1期治療で歯列拡大をしたことが抜歯の判断を鈍らせる原因でしょう。1期治療をせず、永久歯列の完成(つまり今の年齢)まで待って、抜歯治療で一回で終わらせてよかったケースではないかと推測します。
 <客観的に見ると大したことはないかもしれませんが>とありながら親が気になる程度というのは、専門的に分析すると通常はかなりの程度であるのがほとんどです。まったく1期治療が無駄だったということではなく、成長発育期の今からの時期をとらえて、もう一度ヘッドギアの使用と抜歯によって、歯列の拡大(非抜歯)から縮小(抜歯)という方針転換が望ましいと考えます。
 <抜歯すると痛みもかなりあるか?>
 痛みには個人差がありますので何ともいえませんが、細胞が若く活発なこの時期の歯牙移動は成人のそれよりずっとスムーズで、その分痛みも強くないものです。矯正治療中の痛みは、歯の移動量や移動期間とあまり関係ありません。

 大変な長文なってしまいました、読了お疲れさまでした。回答を参考にされ、どちらにせよ決断を先延ばしにしないことが肝要です。ご不明な点がありましたら改めてお尋ね下さい。内容にそってお答えさせていただきます。


質問


先生がご指摘の通り、1期治療でかなり状態も良くなり(歯の重なりが少しになり突出感が若干少なくなった)加えて年齢的にもこれから顎や顔も成長するのではと思ったのが抜歯にふみきれない理由でした。
やはり、成長期でも期待はできないということですね。
それでは、これから抜歯治療に切り替えた場合、ヘッドギアで後方移動させた奥歯は、今度は前方への移動になるのでしょうか?
そうなると、1期治療や半年間の装置をつけての治療はマイナスにはなりませんか?
担当医からは、今の状態は標準より少し出ているのでそれを改善するなら前歯を少しずつ削って引っ込めることでほぼ標準になる。という方法もいわれていますがどう思われますか?
また、このまま非抜歯でいくなら親知らずの抜歯を近いうちにといわれていますが、まだ出てきていない歯を抜歯するのは年齢的に大丈夫なのでしょうか?
小臼歯の抜歯をすればすぐに親知らずは抜かなくていいと思うのですがどうでしょうか?子供にとって一番負担のない方法をと考えると色々悩んでしまいます。
こうして相談させて頂いてとても感謝しております。
よろしくお願い致します。


回答


根本は、最初の治療方針の説明の際、2期治療を抜歯治療か非抜歯治療のどちらでやると説明されたかです。治療途中で方針の変更はあり得ることで、悪いこと間違ったことではありませんが、もともと抜歯を前提にやった1期治療だったら拡大は意味がありません。しかし、1期治療そのものが無駄だったわけではなく、ヘッドギアの使用それ自体には意義があります。
 <ヘッドギアで後方移動させた奥歯は、今度は前方への移動になるのか?>
 ヘッドギアは必ずしも奥歯を後方移動したわけではなく、奥歯(六歳臼歯)を介して上顎骨の前方発育を抑制(方向転換)させたのです。その間、下顎が前方に発育することによって、上下顎の前後的なズレは減少します。この改善された上下顎関係は大切ですから、2期治療でもそれを継続するために通常ヘッドギアは使い続けます(使わなくていいケースもあります)。ですから<1期治療や半年間の装置をつけての治療はマイナス>ではなく意味のある治療だったことになります。
 <前歯を少しずつ削って引っ込めることでほぼ標準になる>
 お子様は抜歯・非抜歯のボーダーラインケースということですが、その基準は先生によって異なるものです。この「前歯を少しずつ削って]というのは非抜歯論者が好んでとる方法ですが、その先生のいう“標準”まで歯を削れるのか、削っていいのか、それをここではどちらとも明言できません。ただ、私(あるいは私の関係する学派)は原則的にこの方法はとりません。歯を削るというのは不可逆的(元に戻れない)処置だからであり、その程度で期待する変化は望めない(ものがほとんど)と考えるからです。
 <このまま非抜歯でいくなら親知らずの抜歯を近いうちに>
 この考えは非抜歯矯正の理論の中にあるものです。つまり非抜歯といっても親知らずは抜歯するわけですが、まだ顎骨の奥深い所に歯胚として存在する親知らずを抜歯するのは、歯科としては結構な手術です。15歳未満児の親知らずの抜歯は保険が適用にならないはずですが、これは、そもそもその年齢の親知らずは抜く適応になっていないことを意味しています。この理論と方法は知っていますが、私自身は一例も経験していません。
 <出てきていない歯を抜歯するのは年齢的に大丈夫なのでしょうか?>
 上記の通りですが、現実に行われていることも確かです。しかし、もっとも厳しい抜歯であることには間違いありません。
 <小臼歯の抜歯をすればすぐに親知らずは抜かなくていいと思うのですが>
 その通りです。通常は矯正治療が終了し、親知らずの生える年齢まで観察を続け、必要に応じて抜くか保存するか、その判断あるいは処置をして矯正治療は完了になります。ボーダーラインケースであれば、小臼歯の抜歯によって将来親知らずは抜かなくても済むかもしれませんし、抜くとしても易しい抜歯で済むことが予想されます。


矯正歯科
質問


はじめまして。
2週間ほど前から矯正をはじめました。
上顎前突&ガミースマイルの改善とういことで、ヘッドギアを使用しています。
私の矯正の先生が「ガミースマイルを治すために、ヘッドギアで上の歯を圧下(骨の中に押し込むようにする)する」とおっしゃっていたのですが、ここで素朴な疑問・・・
歯を骨の中に押し込んでも、歯の見える面積は小さくなるけど、ハグキの見える面積は変わらないのでは・・・!?
お忙しい中恐縮ですが、どうか教えてください。


回答


質問者さんがどんなタイプのヘッドギアを使用されているか分かりませんが、一般論として歯牙移動の生物学的メカニズムについてお話いたします。
 まずはじめに、歯の周りの解剖学的形態を簡単に説明しますと、歯は歯槽骨という骨の中の歯槽という穴の中にあり、歯と歯槽骨との隙間を歯根膜という組織が満たして歯を歯槽骨に繋ぎ止めています。
 その歯に、水平方向、垂直方向、回転、傾斜などの力(矯正力)を加えると、それがどのような移動方向であっても、基本的に、動いていく側の歯根膜は歯に圧迫され(圧迫側)、離れていく側の歯根膜は歯に引っ張られる(牽引側)という二つの現象ができます。
 時間の経過ともに、圧迫側の歯槽骨には破骨細胞という食細胞、牽引側には骨芽細胞という造骨細胞が出現し、文字通り、動こうとする側(圧迫側)の骨は吸収され隙間ができ、引っ張られている側(牽引側)の表面には新しい骨ができて、広がった隙間を本来の幅に修復しようとします。つまり、歯牙移動とは、歯槽という歯を収容している骨の穴そのものが移動することで、その結果、歯もその位置を変える(移動する)ことになります。
 この様子は、水平移動ですが下記のHPのアニメーションで見ることができますので、是非ご参照ください。
http://www.dent.niigata-u.ac.jp/ortho/hp/treat/Q04.html
 
 さて、本題の圧下ですが、わかりやすく逆の挺出(骨から出る方向への移動)の場合で考えてみますと、歯槽骨内から出ようとする力(矯正力)によって、歯根膜腔はすべてのところで牽引側となるため、歯が伸びても歯槽骨がそれに付いて造骨されてくるので、結果的に歯は歯槽(骨の穴)から抜け出すことなく骨ごとその垂直的高さを増します。挺出力が強過ぎれば歯根膜は断裂し歯は脱臼、もっと急激に強い力が加われば歯は脱落(抜歯)になります。
 圧下は挺出とまったく逆の作用で、すべてが圧迫側となるため骨ごとその垂直的高さを減じる、というわけです。
 どのような歯牙移動の場合でも、最適な矯正力を用いれば歯牙歯周組織に損傷を与えることなく、目的の位置に骨ごと移動することができる、という理屈です。ちなみに歯肉は、移動にともなって改造が行われ、新しい位置に適した歯肉に変わりますので、弛んだり波打ったりするわけではありません。これは、歯を抜歯して矯正治療した人の治療後の状態を見ていただけばよく分かります。
 このように、人間(に限らず生物)の仕組みとは誠によくできているものです。


矯正歯科
質問


40代の女性です。長い間歯並びと下顎のずれ(横ずれ)を気にしており、先日審美歯科に短期間で済むクイック矯正の相談に行きました。
そちらの先生は「審美歯科はあくまでも歯の見栄えを良くする為のものであるので、一度矯正専門の先生に相談してみてはいかがでしょうか」と言って下さりましたので、矯正専門のそちらの先生にご相談させていただきます。
<質問>
1.歯槽膿漏(歯根が見えている部分がある)でも矯正は可能でしょうか?
2.年齢がいっている為矯正装置が見えることに抵抗があるのですが、見えないように矯正する事は可能なのでしょうか?
3.下顎のずれがある場合必ず手術による外科的治療を施さなければならないのでしょうか?
宜しくお願い致します。


回答


はじめまして。多くの矯正医が審美歯科ことに“クイック矯正”について「矯正治療の本質から外れた矯正治療」としてその問題点を指摘してきましたが、この度の審美歯科の先生の質問者さんへのコメントは適切で、そのようなアドバイスをしていることを知って少し安心しました。
 ご質問への回答です。
1.歯槽膿漏(歯根が見えている部分がある)でも矯正は可能でしょうか?
 まず、現在、学術用語として歯槽膿漏という言葉は無くなり、歯周病という言葉になっていることをお伝えしておきます。歯周病は、ある程度の年齢を過ぎれば多かれ少なかれ罹患しているといってよいほどのものですから、成人矯正の場合はそれを前提にして、歯周病の予防やその進行を遅らせたり、あるいは歯周組織の改善のために矯正治療が行われるという側面を持っています。
 そのため、かなりの歯周病罹患者でも歯周病科と連携しながら矯正治療に入ることはしばしばあることですが、矯正的歯牙移動は、基本的に歯と歯周組織にとっては侵襲(しんしゅう)ですから、歯周病の程度によっては矯正治療が不可になります。
 質問者さんの場合は、長い間の歯並びと下顎のずれ(咬み合わせの異常)が歯周病の一因になっていることも考えられますが、矯正治療が可能かどうかは文面だけでは判断できません。歯槽膿漏とお書きになっていることから考えますと、すでに一般歯科でその治療を受けておられるかと推測いたしますが、まずその先生に「矯正治療が可能かどうか」を尋ねるのが良いかと思います。

2.年齢がいっている為矯正装置が見えることに抵抗があるのですが、見えないように矯正する事は可能なのでしょうか?
 それは可能でしょうが、この装置は“外から見えにくいこと”以外はすべて欠点だと断言します。ある矯正医の質問コーナーでは「良心的な矯正医だったらやらない方法]とまで書いています。質問者さんが通常の2,3倍の費用と期間をかけて、かつ仕上がりの質は問わないのであれば、裏側(舌側)の装置でもいいでしょう。

3.下顎のずれがある場合必ず手術による外科的治療を施さなければならないか?
 これは程度の問題と患者さんの希望次第です。顔を正面から鏡に映したときに明らかな下顎のズレ(偏位)が認められる場合、その状態をできる限り改善したいとしたら、外科的処置でないと希望に添えないかもしれません。
 誰しも外科手術と聞けば恐ろしいと感ずると思いますが、これは押さえつけてでも(強制的に)するわけではありませんので、まずは話を聞くだけでも、お近くの矯正歯科専門医院を訪ねることをお勧めします。百聞は一見にしかずで、矯正医は質問者さんの三つのご質問にこの回答よりもより明快に答えてくれるはずです。


矯正歯科
質問


はじめまして、よごうと申します。
子供の噛み合わせのことについて相談させてください。
現在、1歳9ヶ月なんですが、今年の4月から上前歯で下唇を噛むというか、
全部覆ってしまう癖が出てきました。そのせいなのか、もともとその気があったのか
前歯が出ている気がします。噛み合わせ自体、上が出ている感じもします。
その癖についても、たまにではなく、
その口をしているのが当たり前なくらい、いつもしています。
本人にとっては、それが普通みたいで、注意をしても、一瞬やめるだけで、
またすぐ前歯をみせます。あんまり言うとストレスにもなりそうで、
どうしたらいいか困っています。
1歳6ヶ月検診の時に歯科検診もあり、相談もしたのですが、
(その時母子手帳に、不正咬合要注意とかかれました。)
一番奥の歯が生えるまではどうしようもできないようなことを言われました。
まだ、一番奥の歯が生えてくる様子はなく、このままの状態が続くと
ますますひどくなりそうで悩んでいます。
癖を治療する装置があることを聞きましたが、今の時期ではまだつけることは
できないのでしょうか?この時期に何かできることはないでしょうか?
どうぞよいアドバイスをよろしくお願いいたします。


回答


はじめまして。
 現在1歳9ヶ月のお子様に4月頃から咬唇癖が出て、1歳6ヶ月の歯科健診時に<不正咬合要注意>と書かれたということですから、状況からすると、お子様の咬み合せはすでに出っ歯(上顎前突)の状態にあると推測されます。
 ただ、咬唇癖が始まった時期から1歳6ヶ月健診まではほんの一月ぐらいだったでしょうから、上顎前突が咬唇癖によって起きたとは考えにくく、それ以前から何らかの原因によって上顎前歯の前突があったと考えられます。指しゃぶり、毛布やタオルのおしゃぶりや咬み癖、ゴム製乳首の長期常用など、思い当たることはありますか。また、遺伝的にご両親のどちらかが上顎前突の傾向を持つということはありませんか。成書によれば、口腔習癖の一種であるこの咬唇癖の原因は、他の習癖と同様心因性のものが大部分だとあります。咬唇癖の現れた頃、お子様の環境に何か変化はありませんでしたか。
 また、心因性の原因はなくとも、上顎前歯の前突があると下唇は物理的に前歯に咬み込まれ、また、咬み込まれると上顎前歯は前突(下顎前歯は後退)するという悪循環を生みます。そのため、できればその悪習癖を止めさせたいところですが、基本的に、今の年齢では“注意深い観察下に置く”、つまり何もせずに様子を見るしかない、そしてそれで良いように思います。
 乳歯が生え揃うのは2歳半ぐらいですが、その間、子どもの成長に合わせて口腔周囲の環境は大きく変化します。食事や言語の変化発達はいうに及ばず、興味の対象の変化にともなう運動量の増大でジっとしていることが少なくなり、習慣的行為(癖)をすることを忘れるようになって、いつの間にか癖が消失することは少なくありません。また、2歳を過ぎるころから自我が発達し、事の良し悪しを判断できるようになるので、親が止めるように約束したことを自らの意志で止めるようになります。ですから、<ますますひどくなりそうで悩んでいます>というお気持ちはよく分かりますが、少なくともあと1年ぐらいこのまま様子を見るのが良いように思います。
 悪習癖を除去するにはいくつかの方法があり、対症療法的に前歯で下口唇が咬めないようにする習癖除去装置もありますが、方法としては、ある年齢になってから本人の自覚で止めさせるのが最も好ましいやり方です。不正咬合の予防という意味では一時も早く咬唇癖を止めるに越したことはありませんが、放置したらこのままどうしようもなく不正を増悪させてしまうというわけでもありません。何よりも最後は矯正治療で改善することができますので、ことさら深く悩むことはないと思います。
 いま大切なことは心の健全な発達です。咬唇癖はもう少し長い目、ユッタリした目で見つめていていいのではないかと思います。少なくとも、わが子であったらやはり今は何もせず、もうしばらく“注意深い観察下に置いて”おくでしょう。


矯正歯科
忍者ブログ [PR]

material by: